今年の折り返しと特定建設業許可

 こんにちは。行政書士の渡辺です。
 今年も半年が過ぎましたが、皆様、一年の前半はいかがでしたか?
 私といえば、春に新設した事務所の準備もあって、気が付いたら前半を折り返してた…といった感じです。

 前回のブログでもお伝えしましたが、
https://gyosei-one.com/archives/1012
 こちらの事務所は、建設業許可や決算変更届、経審の申請窓口となっている土木建築事務所がある山口県宇部総合庁舎の目の前にあります。
 今年の後半も建設業許可関連の業務を中心に、建設業者様を全力で支援していこうと思います!

 建設業許可といえば。
 今年の折り返し、6月末に無事許可が下りた建設業許可申請があったんですが、こちらは「特定建設業許可」でした。ご依頼をいただく許可申請は「一般建設業許可」のケースがほとんどで、特定建設業許可の申請は珍しいです。
 この特定建設業許可、どんな場合に必要となるのでしょうか?

特定建設業許可が必要となるケース

 発注者から直接工事を請け負い(元請業者)、かつ、下請契約の請負代金の総額が税込4,000万円(建築一式工事は6,000万円)以上となる建設業者は、特定建設業許可が必要となります。特定建設業許可以外の許可は一般建設業許可となります。
 特定建設業許可は、多くを下請に発注する、大規模な元請工事を予定している建設業者様が取得するイメージですね。

 特定か一般かを判断するポイントは二つ。
 まず、「自身が元請」であること。下請であれば、請負金額や再下請への発注金額に制限はなく一般建設業許可で足ります。
 次に、制限があるのは「下請発注の合計金額」であること。制限以内の下請発注に留めて大部分を自社で施工するのであれば、請負金額にかかわらず特定建設業許可は不要です。

 業種ごとに一般/特定の建設業許可を選択することができます。土木工事業は特定で、管工事業は一般で、などです。
 ただし、複数の営業所がある場合、「本店の土木工事業は特定で、支店の土木工事業は一般で」といったことはできません。

特定建設業許可の要件

 特定建設業許可が求められる理由は、発注者や下請業者の保護にあります。
 大規模な元請工事となると、下請を含めた工事全体の管理も複雑になります。また、元請業者が倒産すれば、発注者はもちろん、下請業者も連鎖倒産に追い込まれるなど大きな影響を受けます。
 そこで、特定建設業許可の要件は、一般建設業許可と比べて、以下の点が加重されています。

①専任技術者
 一つ目は、専任技術者の資格です。
 指定建設業(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業の7業種)については、原則として1級の施工管理技士など、一定の資格を持った方しか専任技術者になれません。
 指定建設業以外の業種については、上記の資格の他、一般建設業許可の専任技術者の要件に該当する方で、4,500万円以上の元請工事に関して2年以上の指導監督的実務経験がある方も専任技術者となれます。
「指導監督的実務経験」というのは、建設工事の設計・施工の全般にわたって工事現場主任や現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した実務経験をいいます。
 正直にいうと、これまでの特定建設業許可申請では1級の施工管理技士をお持ちの方しかお目にかかったことがありません。

②財産的基礎
 二つ目は、財産的基礎の要件です。
 以下の全てに該当することが必要です。

  1. 欠損(赤字)の額が資本金の20%を超えていないこと
  2. 流動比率(流動資産合計÷流動負債合計)が75%以上であること
  3. 資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本(純資産)の額が4,000万円以上であること

 資本金や自己資本の要件が厳しめです。
 税理士の先生とも相談しながら準備を進めたいですね。


 いかがでしたか?特定建設業許可、結構厳しいですよね。
 特定建設業許可をパッと取れる企業は多くなく、何年も掛けて準備をして取得する、というイメージです。大きな元請工事を予定している方は、早めの準備をお勧めします。
「ウチは特定建設業許可が必要なの?」「要件が分かりにくい」などのご相談がありましたら、お気軽にご連絡ください。