経営事項審査の改正施行

 こんにちは。行政書士の渡辺です。
 3月に入り、ぐっと暖かくなってきました。当事務所には昔ながらの丸い石油ストーブが鎮座しているんですが、そろそろ片付けよっかな、と考えている今日この頃です。
 先月、電気代高騰に備えて省エネ型のエアコンを新しく取り付けていただいたんですが、どうも乾燥が苦手で、ストーブを使う頻度の方が多めです。ストーブは面倒ですが、古いものなりの良さがあります。
 とはいっても、変化の激しい昨今。新しいものもどんどん取り入れないと、ですね。

経審 審査項目改正

 変化といえば。
 今年1月より、経営事項審査(経審)の審査項目の一部が変わりました。
 昨年8月に経審の改正が公布されたのですが、このうち、今年1月から施行となった変更点をいくつかご紹介します。

ワーク・ライフ・バランスに関する取組(新設)

 えるぼし、くるみん、ユースエールの認定取得状況が加点対象に追加されました。

 「えるぼし」とは、女性活躍推進法に基づく認定制度で、女性活躍の推進に関する状況などが優良な企業を認定する制度です。
 えるぼしの「える」は、「Lady(女性)」や「Labor(労働)」に由来しているそうです。

 「くるみん」とは、厚生労働大臣が子育てサポート企業を認定する制度です。
 名称は、赤ちゃんの「おくるみ」や「企業ぐるみで子育てをサポート」から来ているらしいですね。

 最後。「ユースエール認定制度」とは、若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を認定する制度です。
 ユースをエール。分かりやすいです。

 女性活躍・子育て・若者採用育成という「ワーク・ライフ・バランス(WLB)」に関する取組を評価する改正です。

環境配慮に関する取組(新設)

 エコアクション21の認証取得状況が加点対象に追加されました。

 環境配慮の認証には、これまで国際標準規格であるISO14001の登録が加点対象になっていましたが、これに加えて、国のエコアクション21認証も加点対象となりました。
 ただ、エコアクション21はISO14001に比べ認定の審査基準が少なく、また認証手続も簡便であることから、ISO14001よりも加点が少なめになっています。
 また、エコアクション21・ISO14001いずれの認証も取得している場合には、これらの評点の合算は行われませんので注意が必要です。

 エコ、GX(グリーントランスフォーメーション)も大きな社会課題ですよね。これらの取組みも評価される改正です。

建設機械の保有状況(対象の拡大)

 保有が加点対象となる建設機械の対象が広がりました。

 これまで保有(所有・リース)によって加点対象となっていた建設機械は
 ・ショベル系掘削機
 ・ブルドーザー
 ・トラクターショベル
 ・モーターグレーダー
 ・移動式クレーン(つり上げ荷重3t以上)
 ・大型ダンプ(土砂の運搬が可能な最大積載量5t以上)
 でしたが、これに加えて
 ・ダンプ(土砂の運搬が可能な全てのダンプ)
  (ダンプ・ダンプフルトレーラ・ダンプセミトレーラ)
 ・締固め用機械
 ・解体用機械
 ・高所作業車(作業床の高さ2m以上)
 も加点対象となりました。

 災害時の復旧対応に活躍が期待される建設機械の保有を評価するこの制度、対象が広がったのはいいことです。

CCUS活用状況(新設)

 これは1月施行ではないんですが、国内の元請工事で、建設現場での建設キャリアアップシステム(CCUS)カードリーダー設置等、就業履歴を蓄積できる体制を整備することが加点対象に追加されました。
 ただし、以下の工事は対象外です。
 ・軽微な工事
 ・災害応急工事

 建設工事の担い手の育成・確保に向けた取組を評価する制度です。
 基本的には全ての現場にカードリーダー等を付けなければならないのでハードルは高めですが、W点は点数の伸びが比較的大きいので、場合によってはチャレンジする価値はあると思います。

 なおこちらの改正は、令和5年8月14日以降を審査基準日とする申請で適用となります。
 経審の申請様式は1月から変更されて、現時点の書式にもこの項目の記載欄があるんですが、暫くは空欄のままにしなければならないのでご注意ください。

 経審はしょっちゅう改正があり、分かりずらい項目もあります。
 改正がある度に資料とにらめっこをして「ムムム…」と唸っていますが、これをお客様に伝えて感謝していただけると疲れも吹っ飛びますね。
 これからも変化にしっかり対応していきます。