ご実家の相続手続はお早めに

 こんにちは。行政書士の渡辺です。
 先日建設業許可申請を提出したんですが、今月4月から、令3条使用人がいない場合には令3条使用人調書を出さなくてもよくなりました。
 何のことだかサッパリ、ですよね(笑

 令3条使用人、正式には「建設業法施行令第3条に規定する使用人」。支店長や営業所長のような方です。
 令3条使用人がいなくても、これまでは建設業許可申請の際に令3条使用人調書(正式には「建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、生年月日等に関する調書」)を提出しなければならなかったんですが、これが不要になりました。

 説明しましたが、やはり何のことだかサッパリ、ですね(苦笑
 「今回の改正で、建設業許可申請がちょっとだけラクになった」というお話でした。

 改正といえば。
 相続に関する法改正が次々と施行されます。
 多くの方に関係がある相続。今回の改正は3本柱なんですが、それぞれ見ていきましょう。

その1:遺産分割協議の期間設定

 今年4月1日に施行された法改正です。相続が始まってから10年を過ぎても遺産分割協議がまとまらない場合、原則として法定相続分で遺産を分割する、というものです。
 これまでは協議に期限はありませんでしたが、10年以内に協議をしないと、希望しなくても法定相続分で遺産を分けることになります。
 期限内に家庭裁判所に調停・審判の申し立てをすれば10年経過後も法定相続分以外の分割も可能ですが、手続が大変です。

その2:相続した土地・建物の登記の義務化

 来年4月1日に施行される法改正です。施行後は相続が始まってから3年以内に、相続不動産の所有名義を相続人に変更(相続登記)する必要があります。
 注意点は、既に相続が始まっている(お亡くなりになった方の名義の不動産がある)場合です。改正法の施行前に相続が発生していたから関係ない、ではなく、既に相続が発生している場合は27年3月が期限となります。
 登記しない場合、10万円以下の過料となる場合がありますのでご注意ください。
 なお、期限に間に合わない場合は、新設された相続人申告登記制度を利用すれば過料の対象となりません。

その3:相続土地国庫帰属制度

 今年4月27日に施行される法改正です。相続する土地の価値が低く、相続人が誰も引き継ぐ意思がない場合、その土地を国が引き取ってくれるという制度です。
 ただ、どんな土地でもこの制度を利用できる訳ではありません。建物が建っていたり、担保が設定されていたりすると利用できませんし、その他にも多くの条件を満たす必要があります。
 加えて、審査料や負担金など、金銭的な負担もある点に注意です。
 法務局は今年2月22より、国庫帰属制度の事前相談の受付を開始しています。


 これまでは遺産分割協議や相続登記の期限がなかったので、ご実家の名義も昔のまま…という方も多いと思います。私たちへのご依頼でも「10年以上前に亡くなった方の相続手続」というのも珍しくありません。
 今後はペナルティも発生します。ご実家の相続手続はお早めに。