製造業・サービス業の建設業許可

 こんにちは。行政書士の渡辺です。
 とうとう梅雨入りした山口県。台風が来たと思えば、今日の宇部はすっきりとした快晴です。台風一過ですね。
 それでも梅雨の時期ですから不安定な天気が続きそうです。先日久しぶりにデイキャンプへ行ったんですが、キャンプは暫くお預けです。

 ちなみに今回お世話になったキャンプ場は「吉部フォレストクラブ」。オープンしたてでとても綺麗なキャンプ場でした。穴場的なキャンプ場、オススメです。
吉部フォレストクラブ
 こちらのキャンプ場は中山間部にあるんですが、Wifiも完備してるのでインターネット環境はバッチリです。キャンプ場でも仕事ができると思うと若干悲しいですが💦便利なのはありがたいです。

 Wifiといえば。
 インターネット・IT関連製品をたくさん提供している有名な企業、エレコム(株)。無線ルーターやマウスなどのPC周辺機器でお世話になっている方も多いのではないでしょうか。
 そのエレコムが、今年5月16日付で建設業許可を取得したことがニュースに流れていました。許可業種は「電気通信工事業」です。

製造業・サービス業の建設業許可

 建設業者の方であればよくご存知だと思いますが、請負金額が税込500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上)の建設工事を請け負う場合、建設業許可を受けなければなりません。
 この500万円には材料費や施主支給品の額も含まれます。

 エレコムは製品の開発・販売だけでなく、現場でネットワークの構築業務もしているそうです。このネットワーク構築業務、例えばLANケーブルの敷設や無線APの設置等は、場合によっては建設工事(電気通信工事業)に当たります。
 規模が大きなネットワーク構築業務では、作業費もそうですが、機器代も相当な額になるでしょうから、エレコムが許可を受けたというのは頷けます。

「ウチは建設業者じゃないから関係ないよ」とはいかない

 本業が機械製造業やIT関連事業であっても、その業務内容が建設工事に該当することはよくあります。

 例えば機械を製造しているメーカーが、機械の製造と設置も受注した場合、その設置が建設工事に当たる可能性が高いです。
 IT関連事業者であれば、エレコム同様、ネットワーク構築業務が建設工事に当たる可能性は十分あります。

 私たちもこれまで、本業が建設業ではない企業から、
 ・機械器具設置工事(機械メーカー)
 ・電気通信工事(IT関連企業)
 ・土木系工事(運送事業者)
 ・電気工事業(電気関連機器販売事業者)
 ・機械器具設置工事業(総合商社)
などの建設業許可のご依頼を受けました。
 一件建設業とは無縁の、本業が建設業ではない企業からのご依頼は珍しくありません。

特に注意なのは「機械器具設置工事」

 建設業許可が必要な「500万円の要件」には材料費なども含まれます。この材料費のことでよく問題になるのが「機械器具設置工事」です。
 機械メーカーが設置も含めて受注した場合、その受注金額の大部分は機械代金で、設置費用は500万円に満たないことが大半です。ところが、設置まで含めて一括で受注した場合、機械代金も含めた全体の金額が機械器具設置工事の請負金額とみなされ、機械代金だけで500万円以上となることから許可が必要となる建設工事となるケースがあります。
 機械メーカーだけでなく、大型部品の製造業者やプラントの整備や修理を行っている企業など、取り扱う製品の金額が大きな事業の場合も同様です。
 そして多くの場合、これらの業務が該当する業種は「機械器具設置工事」です。

 ちなみに、機械などを取り扱う企業が建設業許可を受けようとする場合、許可要件だけでなく「一般建設業か/特定建設業か」ということもよく問題になります。これを話すと長くなるので、またの機会に😊

コンプライアンス意識の高まり

 昨今はコンプライアンス意識の高まりから「たとえ建設業が本業ではなくても、建設工事に当たる可能性のある業務を取り扱っているのであれば、建設業許可を受けるべきだ」という風潮が強まっているように感じます。
 全国の建設業者数は減少傾向ですが、建設業許可の取得件数は増加している(令和5年3月期は久しぶりに若干減少しましたが)のは、建設業者以外の企業の建設業許可件数が増えている表れではないかと思っています。

 許可を受けないまま契約を締結すれば違法となり、罰則を受ける可能性もありますし、何より企業ブランドに傷がつきます。万一違法と判断されたダメージは小さくありません。
 特に、自治体と取引のある企業で、建設工事に当たりうる設置なども含めた業務を受注する予定があるなら、建設業許可は受けておくべきです。


 本業が建設業でない企業の場合、許可の要件などについてお詳しくないことが殆どです。
 ご自身で許可取得となると大変だと思いますので、ぜひ専門家へご相談されてください。我々も精いっぱいお手伝いいたします。