外国人材の新制度「育成就労」とは?

 こんにちは!行政書士の渡辺です。
 今日12月17日の宇部は突然の雪!昨日は風が強くて寒かったんですが、まさか雪になるとは…ビックリしました。
 早速スタッドレスタイヤへの交換を手配しました。後手に回りましたが、やっぱり早め早めの準備が大事ですよね。

 早めの準備が大事といえば。
 昨今の外国人の在留資格で話題となっている「技能実習」について、新たな制度創設を検討している政府の有識者会議が先月11月24日、最終報告書を取りまとめました。

 「技能実習」制度の目的は、外国人が日本の技術・技能を学び、そのノウハウを母国へ持って帰ってもらうことで、発展途上国の人材育成に協力しようという「国際貢献」が名目なんですが、実態は日本の人手不足解消のための「労働力確保」の手段となっていると言われていて、制度の目的と実態との隔たりが指摘されています。
 制度上転籍(転職)ができないこともあって、賃金不払いやパワハラなどが横行しており、国内外から人権問題として批判されています。

 そこで先ほどの有識者会議が、技能実習制度を廃止し「人材の確保と育成」を目的とした新制度を検討した、ということです。
 その新制度の名称は「育成就労」(仮称)。さて、有識者会議の最終報告はどういった内容なのでしょうか。

特定技能1号水準への育成

 最終報告の内容は多岐に及んでますので、ここでは概要だけお伝えしたいと思います。
 まず、「育成就労」制度の位置付けですが、「特定技能1号の水準の人材に育成」としています。
 在留資格「特定技能」は日本の人手不足を補うための制度。「育成就労」は、人手不足の日本企業にとって戦力となる人材まで育てるという位置付けの様です。国際貢献を目的とした「技能実習」とは異なるわけですね。

職種の拡充

 現行の「技能実習」は88の職種があるのに対し、「特定技能」は12分野しかなく、技能実習修了後に特定技能への移行が難しいケースがある、という課題がありました。
 そこで、どの職種でも「特定技能」へ移行できるよう、従事できる業務の範囲を同一とすることが検討されています。先ほどの1と同様、「特定技能」への移行が重視されている様です。

転籍(転職)が可能に

 人権問題として指摘されている「転籍(転職)できない」問題。最終報告では「一定要件を満たせば原則として、同一業務区分内において1年で転職できる」としています。
 転職できるようになるのは外国人にとっては大変良いことですが、受入企業にとって転職は(技能実習と比べて)リスクとなるので、これまでの技能実習生との接し方とは異なる対応が求められるようになるのでしょう。受入にかかった費用についても問題になるかも知れません。
 ともあれ、転職が可能になるのは大きな変化です。


 様々な点で議論がなされている「育成就労」。
 「技能実習」や「特定技能」と絡んだ制度改革になるので、かなり注目されている様です。特に人手不足が常態化している建設業界ではベトナムなどからの技能実習生の受入も多く、影響は大きいのではと思っています。
 私たちも外国人材の受入のお手伝いが多いことから、この新制度、今後の行方に注目したいと思います。

 「特定技能」への移行、1号から2号への移行もそうですが、在留資格の変更は予想外のところで躓くことがあります。外国人の方を雇用されている企業の皆さま、将来在留資格の変更をお考えであれば早めのご準備を。