社長の平均年齢と経管・専技のバトンタッチ

 こんにちは!待望のゴールデンウィーク初日ですが、専門家相談員として「うべスタートアップ(うべスタ)」に駐在中の渡辺です。
 「うべスタ」とは、宇部市が運営するイノベーション創出拠点。起業したい方や、ビジネスのアイデアを実現したい方などが利用しています。
 うべスタでの僕の仕事は法務全般のご相談対応ですが、スタートアップ支援という性質上、法人設立のご相談が多いです。普段は建設業許可周りの仕事が圧倒的に多いので、うべスタに来ると気分が切り替わります😊

 法人を設立するとその方は社長になりますが、さて、日本の社長の平均年齢って何歳くらいかご存知でしょうか?
 何と、60歳を超えているそうです。
社長の平均年齢、60.5歳 33年連続の上昇、高齢化止まらず
 思っていた以上の年齢でちょっとビックリです。

 建設業界は他業界と比べて特に高齢化が進んでいる業界ですが、業界特有の事情もあって、一朝一夕での改善は難しそうです。
 例えば、経営業務管理責任者や専任技術者が高齢になったが、後任がおらず、許可の維持のために引退できない、などの事情もあります。
 ただでさえ人手不足の建設業界。現場だけでなく、管理体制のバトンタッチにも悩んでいらっしゃる企業は多いと思います。

 そんな中、以前からお付き合いのある建設企業から先日、「経管・専技を務める役員が退任するので、社内体制の刷新に伴う手続をお願いしたい」とのご依頼がありました。
 今日は、経管・専技を変更する場合の注意点をいくつかご紹介します。

経営業務管理責任者(経管)

 一般的な経管の要件として、5年以上の建設業の役員経験が求められます。
 長年建設業を営んでいて、役員も複数人いる法人であれば問題になることは少ないですが、役員が社長一人、または他の役員の就任年数が短いなどの場合には、大きな問題になることがあります。
 経管は、要件を満たすのに時間がかかる場合がよくあります。事業承継や事業譲渡の場合には長期的なスパンでの準備を心がけましょう。

専任技術者(専技)

 専技は、許可業種に対応する資格等を持った後任の方がいらっしゃれば安心ですが、実務経験で要件をクリアする場合には、それだけの実務経験を確認できる書類(請負契約書や注文書・注文請書など)があるか確認しましょう。
 技術者の資格は経審の加点事由にもなりますので、日頃から職員の資格取得を後押しするような社内体制にしておくことをお勧めします。

許可の種類

 現在の許可の種類が「特定建設業許可」の場合、別途手続が必要となることがあります。
 専技の資格によっては特定建設業許可を維持することができず、一般建設業許可への変更が必要となる場合がありますが、この手続は「変更届」ではなく「許可申請」となります。申請書類も審査期間もそれなりのボリュームとなります。
 また、特定から一般の許可申請(特般新規)と、一般から特定への許可申請(般特新規)は、内容は似ていますが微妙に違う点もあります。特般新規の場合は既存許可の廃業手続も必要など、注意が必要です。

その他(周辺許認可)

 経管の方が退任するということは、役員を辞任するということになります。
 多くの許認可では、役員の変更が生じた場合には届出を求めていますので、その企業が持っている許認可が何なのか、それぞれでどんな手続が必要となるか、漏れがないようチェックしましょう。
 建設業関係だと、産業廃棄物収集運搬業許可、建築士事務所登録などがありますが、いずれも役員の変更に関する届出が必要です。


 経管や専技の変更は、そんなに頻繁にあることではありませんが、万一そのようなことになった場合には許可の存続にかかわる一大事です。
 僕も、事業承継や事業譲渡・M&A、県を跨ぐ人事異動で「うっかり許可要件を満たさなくなった」という方の廃業届をお手伝いしたことが何件かあります。

 建設業の高齢化がここまで進むと、従業員や家族の生活を守るため、事業承継や事業譲渡が増加することは不可避だと思います。役員が交代となれば、これに伴い経管や専技も交代、といった事情もこれから増えてくるのではと思っています。
 次の世代に安心してバトンタッチできるよう、まずは「長期的に計画すること」「専門家に相談すること」が大切です。気になる方は早めにご相談ください。