原戸籍とマイナンバーカード

原戸籍,聞いたことがありますか?
「はらこせき」と読みます。「げんこせき」と読む人もいますね。

原戸籍とは,現行の戸籍制度以前の制度による戸籍のこと。正式には改製原戸籍といいます。
普段見ることはほとんどありませんが,相続が発生するとほぼ確実に登場する戸籍です。最近のコンピュータ化された戸籍等抄本を見慣れている人が原戸籍を見て,その古めかしさにビックリすることもあります。

戸籍制度は2度の大きな改正がありました。
一つは昭和22年。民法の全面改正により家制度が廃止されたことに伴う改正で,戸籍を作り直した際の元になった戸籍が原戸籍です。この頃の原戸籍を見ると「戸主」とか「家督相続」とかっていう単語が現れていて,当時の家制度を垣間見ることができます。
もう一つは平成6年。戸籍事務のコンピュータ化に伴う改正です。いま戸籍謄本を請求すると,コンピュータより出力されたキレイな横書き印刷のものが交付されますが,それ以前の戸籍は手書き・縦書きでした。殴り書きのような戸籍にあたると判読が困難(失礼m(__)m)で「あちゃー,ハズレ引いちゃったわー」と泣きながら戸籍を読むこともしばしば。

前者を昭和改製原戸籍,後者を平成改製原戸籍,と呼んだりします。

さて。

5月24日,戸籍法の一部を改正する法律案が可決成立しました。戸籍の管理システムとマイナンバーとを連動させる新しいシステムを導入する,というものです。
新システムの導入により全国どこの市町村でも戸籍データが確認できるようになり,結婚の届出や本籍地変更などの手続で戸籍証明書の添付が不要になるとのこと。
また,現在は戸籍謄本を請求する場合,その本籍がある市区町村窓口に申請しなければならないんですが,本籍地の市区町村以外の市区町村窓口でも戸籍謄抄本の請求ができるようになるとのこと。あっちこっちの市区町村に郵送請求しなくても済むようになります。

私たちの仕事では,遺言・相続に関するご依頼の際に戸籍謄抄本を職務上請求することがたくさんあって,全国に何通も郵送請求することも珍しくありません。いや,このシステムが導入されると助かります。

それにしても,先日は健保法が改正されてマイナンバーカードが保険証として利用できるようになるなど,昨今はマイナンバー推しの姿勢が顕著。
今まではマイナンバーの恩恵が感じづらく,普及率が低くても仕方ないなーと思っていましたが,これからは様子が変わっていくかも知れません。

ちなみに,宇部市のマイナンバーカード発行手続は驚きの速さ。
市役所にフラっと行ってその場でデータ入力して写真撮って,気が付いたら終わってました(笑
まだの方は是非。