建設キャリアアップシステム,再び

こんにちは。行政書士の渡辺康成です。

建設キャリアアップシステム(CCUS),昨年秋頃はわーわー賑やかでしたが,年末年始はひと段落ついた雰囲気でした。
ところが最近にわかに騒がしくなってきました。まずはこちらから。

経審にCCUS

国交省/経審改正案公表/CCUSレベル判定結果を技術力評価対象に,4月1日施行(建設工業新聞2020年2月18日)
 国土交通省は建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用促進に向け、経営事項審査(経審)を改正する。4月に本格運用するCCUSのレベル判定を活用して優秀な技能者を雇用している企業を評価する仕組みを取り入れる。

経審の技術力(Z点)評価対象にCCUSを取り込む,とのことです。
いつかはCCUSも経審に・・・と言われていましたが,とうとう4月から取り入れられます。

CCUSの評価基準

CCUS技能者のレベルは4段階に分類されています。「自分はどうやったらレベル1から2にステップアップできるんだろう?」ということが分かるよう,各レベルの評価基準が職種ごとに定められる仕組みとなっています。
ところが,昨年4月のCCUS本格運用開始時点ではこの評価基準がなく,4種類のカードが行き渡らない,という状況でした。現在各職種ごとに評価基準の策定・認定が急ピッチで進められており,3月4日の記事によれば新たに「とび」職種の評価基準が認定され,現時点で14職種の評価基準が整ったことになります。

国交相の後押し

慌ただしく制度整備・活用促進・普及活動が進むCCUS。その背景には,依然として進まない登録数,という事情がある様です。
CCUSの運営主体である(一財)建設業振興基金が発表した先月2月末時点の全国登録数を見ると,事業者情報登録数が37,062件,技能者情報登録数が202,325件。国交省の当初の目標値が「運用開始後1年(=今年度末)で約100万人の登録」ですから,何とも厳しい数字です。

このような状況からかどうか分かりませんが,

赤羽一嘉国交相/CCUS活用し処遇改善へ/20年内に施策パッケージ作成指示(2020年2月17日建設工業新聞)
 赤羽一嘉国土交通相は14日の閣議後の記者会見で,建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用して建設技能者の賃金上昇の好循環や生産性向上などにつなげる施策パッケージを,建設業界とも連携しながら年度内に取りまとめるよう指示したことを明らかにした。労務単価の引き上げを機に「建設技能者の処遇改善による担い手確保と,建設業全体の生産性向上をさらに推進する」と述べた。

国土交通大臣のこのCCUS推しのような言動によって,ここ最近の賑やかさが起こったのかも知れませんね。
そうすると,今後は経審だけでなく,各行政庁の入札(指名願い)にも勘案されるような流れが起きることも予想されます。実際,一部の県では既にCCUS登録が加点項目になっています。

現在,CCUSをマイナポータルに連携させる動きも出ています。技能講習情報を管理するデータベースをマイナポータルを介してCCUSにつなげるというものらしいのですが,そもそもマイナポータルは政府が運用する個人情報管理システムで,それを(国交省との半官半民とはいえども)民間運用のCCUSと連携させるという話ですから,政府も結構ホンキの様です。

CCUS,登録しましょう

建退共の証紙の交付もCCUSで代替する,という活用方法も検討されています。あれもCCUSこれもCCUS・・・そんな勢いです。
私見ですが,建設業者のCCUS登録は今後ほぼ不可避になると思います。以前から社保加入を建設業許可の要件に入れようという話がありますが,労働者(技能者)の処遇改善がCCUSの目的の一つですから,社保ともソリが合います。今年1月からCCUS登録が建設業者の外国人技能実習生(特定技能)受入れ要件になりましたし,建設業許可要件にCCUS登録が組み入れられるのもそんなに遠い話ではないかも知れません。
いざというときに「あぁ!!CCUS登録してなかった!!」とならないためにも,今のうちから登録しておくことをお勧めします。

とは言っても,事業者登録・技能者登録もそれほど簡単ではありません。紙申請だと今は2か月以上かかると聞いていますし(私たちは基本的にはインターネット申請のご依頼のみお受けしています),インターネット申請でもマニュアル通りに操作したのに正体不明のエラーが出ることもありますし(笑
「登録方法がよく分からない」「忙しくて手が回らない」という方はお気軽にご相談ください。