このような時期だからこそ,準備を。

こんにちは。行政書士の渡辺康成です。
新型コロナウイルス感染症に罹患された皆さま及び関係者の皆さまへ,心よりお見舞い申し上げますと共に,一日も早い収束を心よりお祈り申し上げます。

紙面もニュースもコロナ禍一色ですが,本日の日経新聞にこのような記事がありました。

GIGAスクール構想

遠隔授業 教員に戸惑い
新型コロナウィルス感染拡大による休校の長期化で,文部科学省はインターネットなどによる遠隔授業の導入への対応を急いでいる。(日本経済新聞2020年4月11日朝刊)

この遠隔授業の導入に向けたハード面の支援策として

動画を見られる通信環境を整えるため,小中学生に100万台以上のルーターを貸与するほか,「1人1台」の通信端末を23年度までに整備する計画を20年度中に前倒しする。学校で教員が使うカメラやサーバーなどの設備費も援助。大学や高等専門学校でも同様に遠隔授業の導入を促す。

とあります。

この「1人1台の通信端末を整備する計画」とは「GIGAスクール構想」と呼ばれるものです。

教育用PC「1人1台」特需も… 部品高でメーカー踊れず
…政府が掲げるのは「GIGAスクール構想」。端末の配備と学校内で高速大容量の通信ネットワーク環境を一体的に整備し,ITリテラシーの備わった人材を育成するのが狙いだ。19年度補正予算では2318億円を計上。23年度までに1人1台を実現する。(日本経済新聞2020年2月19日)

当初は23年度までに整備する計画でしたが,昨今の休校長期化に対応するため20年度に前倒ししよう,というのが冒頭の記事です。

公共工事と経営事項審査(経審)

PCの導入だけであれば建設工事には当たらないでしょう。しかし,LANケーブルの配線や通信設備,サーバーのラックへの設置,電源の取り回し等の作業は「電気通信工事」「電気工事」に該当する可能性が高いです。公共工事ですね。

平成6年の建設業法改正により,公共工事の入札に参加しようとする建設業者は,経営事項審査(「経審(ケイシン)」,経営状況分析申請+経営規模等評価申請)を受けることが義務付けられました。経審を受けると総合評定値通知書を取得しますが,入札参加資格審査申請(指名願い)の際にこの総合評定値通知書の提出が必要となります。
そして,経審の申請には建設業許可を受けていることが条件となっています。
つまり,公共工事の入札に参加するためには,建設業許可を受け,経審を経て総合評定値通知書を取得し,入札参加資格審査申請をしなければならない,ということになります。なかなか複雑です。

建設業許可を受けるには,審査期間だけでも1か月以上かかります。経審も最低2か月はかかると見ておいた方がいいでしょう。ですので,これから許可を受けようとする企業が「よし!入札に参加しよう!」と行動をはじめても,入札参加資格審査申請まで4か月~半年ほど,場合によってはそれ以上かかります。

このような時期だからこそ,準備を。

経営者の方々の傾向として,営業やマーケティングなどの「攻め」の部分に注力するものの,許認可や労務などの「守り」の部分は「時間があるときにはやるけど,忙しいと後回し」というベストエフォートになりがちです。そのお気持ち,私も経営者の端くれですのでよく分かります。
しかし,近時はコロナ禍の影響により「攻め」の営業が難しい状況です。そのような状況だからこそ,この災禍が収束した後すぐ動けるよう,平時は後手に回っていた「守り」に時間をかけることが重要だと考えます。

昨年の公立学校エアコン設置などの「特需」に乗り遅れないためには,事前に前述の準備が必要です。PC・システム関連も含め大規模工事は大手が請けるケースが多いと聞きますが,仮に公共工事入札に参加しないとしても,昨今はコンプライアンス遵守志向の強まりもあり,元請企業から「建設業許可を受けるように」と言われる下請企業のお話も耳にします。
建設業許可も,経審も,結構なボリュームの書類の準備が必要です。4月1日から中小企業にも働き方改革関連法が施行され,今までのように「とにかく残業してでも書類を準備しよう!」というゴリ押しも難しいご時世です。時代は「効率化」「時短」「ミニマム」へと流れています。

当事務所は建設業許可申請,決算変更届等各種届出,経審申請,入札参加資格申請,ライセンス期日管理等を通じて,建設業企業の業務の効率化,スリム化をお手伝いしています。
このような時期だからこそ,準備しませんか。