「やまぐち事業承継・M&A協同組合」設立

 皆さまこんにちは。行政書士の渡邊康成です。
 日を追うごとに暖かさが増し,すっかり春の気配ですね。今日は生憎の雨で,桜も緑が目立ってきました。

 さて。
 4月1日,「やまぐち事業承継・M&A協同組合」が設立となりました。
 やまぐち事業承継・M&A協同組合
 税理士・弁護士・司法書士・社会保険労務士・行政書士・コンサルタントが構成員となっている,企業の事業承継・M&Aを支援する事業協同組合です。
 私もメンバーに加入させていただき,設立では事業協同組合設立認可の申請とホームページの製作を担当しました。

 山口県は中小企業等の後継者不在率全国ワースト3位で,事業承継やM&Aの支援が喫緊の課題となっています。このような状況で設立された当組合は,事業承継・M&Aを支援する事業協同組合としては山口県初だそうです。多様な士業がメンバーとなる組合も全国的に見て珍しいのではないでしょうか。

 明日は4月5日は設立発表の記者会見。緊張します。

事業承継における行政書士の役割

 事業承継というと,株価の試算やデューデリジェンス,税務が主要業務となり,真っ先に思い浮かぶ士業は税理士や弁護士ではないかと思います。そんな中,行政書士が行う支援はどのようなものがあるでしょうか。
 私自身それほど事例が多くないのですが,これまでにお手伝いした業務には以下のようなものがありました。

(1)許認可の新規取得,移行

 譲渡する事業が許認可を要する場合,譲受企業もその許認可を受けていなければ事業を行うことができません。

 そこで,事業譲渡の後にちゃんと譲渡対象の事業を行うことができるのか,事業譲渡契約の前に調査し,必要な手続をリストアップします。「許認可DD」とでもいったらいいでしょうか。
 そして,官公署との事前協議,譲受企業の許認可申請書の作成,提出など,取得の手続も支援します。

 建設業許可に関していえば,昨年10月施行の新建設業法で「事業承継の認可」制度ができましたので,許可の新規取得ではなく移行手続になろうかと思います。許可の空白期間をなくす,面白い制度だと思います。

(2)贈与税の納税猶予制度の特例に関する各種申請

 先代社長からお子さんの後継者へ株式を譲渡するケースでの問題の一つは,内部留保が大きくなり株式の評価が高くなってしまった場合です。
 先代社長が保有する株式の評価が何千万円,何億円となっているので,後継者が買い取ろうにもそれだけの資金がなく,また贈与しようにも贈与税が相当な額になり,にっちもさっちもいかなくなります。
 このようなケースにおいて活用できるのが「贈与税の納税猶予制度の特例」です。この制度を利用することで,贈与税の納税を猶予することができるので,株式を後継者へ安心して贈与することができます。

 この制度を利用するには,県知事への各種申請が必要となります。そこで,その書類の作成,申請の手続をお手伝いします。

(3)各種契約書・書面の作成

 事業譲渡には様々な書面の作成が必要となります。
 事業譲渡契約書は弁護士が作成することが多いですが,比較的小規模の案件では行政書士が作成することもよくあります。
 その他,株式譲渡においては株式譲渡の承認請求書,臨時株主総会や取締役会の議事録,承認通知書,株式贈与契約書,株主名簿など,用意しなければならない書類は結構な数になりますので,弁護士と分業して私たち行政書士が作成を支援します。

 このように,事業譲渡・M&Aで行政書士がお手伝いするケースは結構あります。特に(1)(2)は「行政書士らしい業務だなぁ」と思いますので,支援できる場面も今後増えるのではと期待しています。

 事業承継・M&Aは,どちらかというと他人に相談しにくい問題かと思います。お一人で悩んでいる経営者の方も多いのではと思いますが,是非お気軽にご相談ください。
 企業の明るい将来に向かって,ご一緒に伴走できれば幸せです。
 今後とも「やまぐち事業承継・M&A協同組合」と当事務所を宜しくお願いいたします。