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    群馬 CCUSへ特別部会/山梨 新たにDX部会設置/9都県建協の定時総会総括

     関東甲信9都県の各建設業協会の2021年度定時総会が,5月31日の東京で全日程を終えた。コロナ禍で加速する生産性向上を含めた働き方の変化,待ったなしの状況にある処遇改善,新たな課題として浮上してきた脱炭素やSDGs(持続可能な開発目標)などに各協会はどう向き合うのか。事業計画や会長発言などから総括する。 団体活動の一丁目一番地と言える公共事業予算の確保は,各協会が引き続き関係行政機関への要望を積極展開するが,ことしは少し,いつもと違う様相が見られた。政府の「防災・減災,国土強靱化のための5か年加速化対策」のスタートに当たり,公共事業費が大幅に増加した局面,早くも次年度以降を見据えた動きが始まっている。
     埼玉建協の伊田登喜三郎会長は「県知事に不調・不落とならない円滑な受注を頼まれた。積極的に入札に参加し,地域のために質の高い工事を実施してほしい」と要請した。栃木建協の谷黒克守会長も「2019年東日本台風の一日も早い復旧と大型補正予算の着実な執行に,総力を挙げて取り組んでもらいたい」と述べ,確保された予算の円滑執行への協力を呼び掛けた。
     国土交通省などでは既に,22年度の予算編成に向けた作業が始まっている。対策スタートの年に「予算を付けたのに消化できていない」状況が起きれば,財務当局がどう動いてくるかは火を見るよりも明らか。強靱化対策は,5年で15兆円規模とうたわれているものの,それを確実なものとするためには業界一丸の行動が欠かせないわけだ。
     神奈川建協の松尾文明会長は「予算確保のためには,市町村がしっかりと計画を立て国に要望しなければならない。国土強靱化地域計画を策定していない市町村に対し,声を上げなければならない」と指摘した。
     一方,新たな動きに目を移すと,国交省が処遇改善の切り札と位置付ける建設キャリアアップシステム(CCUS)を巡り,群馬建協が「人材確保育成・キャリアアップシステム推進特別部会」の設置を打ち出した。群馬ではこれまでも,青柳剛会長自らが先導する形でCCUSを強力に推進している。地元の沼田支部や自社で,元請けや協力会社の登録料を補助する仕組みを構築するなど,モデルケースを「見せる化」してきた。今後はCCUSに積極的な群馬県とも連携しながら,全県的なうねりにつなげたい考えだ。このほかの各協会も,CCUSの普及・定着を推進する姿勢を示している。
     山梨建協は,新たに「担い手・DX(デジタルトランスフォーメーション)部会」を設置する。神奈川建協もDXや新技術導入に向けた取り組みを事業計画に明記した。専門の委員会を立ち上げるなど,先駆けてSGDsに向き合ってきた埼玉建協はさらなる深度化を進める。千葉建協などもSDGsに関する調査・研究を推進する方針を示した。脱炭素などに特に積極的な長野県を念頭に,長野建協の木下修会長は「われわれ建設業として何ができるか,会員と力を合わせて役割をしっかりと果たしていきたい」と力を込めた。
     国交省と日本建設業連合会や全国建設業協会など4団体との申し合わせにより,業界の喫緊の課題として急浮上した「技能者賃金のおおむね2%上昇目標」への対応も見逃せない。東建の今井雅則会長は「単価のデフレを起こさないよう技能者の賃金を維持し,産業の発展につながる各社の前向きな応札をお願いしたい」と要請し,コロナ禍の景気減退による案件減少に伴うコスト競争の激化をけん制した。働き方改革や処遇改善を後押しする観点から,民間発注者団体や専門工事業団体と意見交換会を開く方針も示した。
     申し合わせは, 国交省と全国業界団体の間で交わされたもので, 各都道府県協会にどこまで響いているかは疑問がぬぐえない。 群馬建協の青柳会長は「目標として難しい面はあるが,われわれも動かないわけにはいかない」と腹をくくり,協会として追随する方針を明確に打ち出した。
     各団体が掲げた,さまざまな計画の着実な実行が今後を左右する。加速する環境変化にどう対応していくか,新たな一手が求められている。

    建設通信新聞 2021年6月4日