日建連/5月15日から整備局らと意見交換、上限規制対応を重点テーマに
日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は国土交通省地方整備局など公共発注機関との2023年度意見交換会を、15日の関東地区を皮切りに全国9地区で開く。将来にわたる担い手確保に向け、働き方改革や技能者・技術者の処遇改善、資材高騰対策、工事現場の生産性向上などをテーマに議論。24年4月に迫る時間外労働の罰則付き上限規制への対応を最重要課題に掲げる。市町村も含め全公共発注機関に対し、時間外労働上限規制を標準とする適正工期の設定や土日現場閉所の完全週休2日などを求める。
建設工業新聞 2023年5月9日
日建連は働き方改革や生産性向上などの推進により新4K(給与・休暇・希望・かっこいい)産業への変革を目指している。そのため意見交換会を通じて業界が直面するさまざまな課題を公共工事で解決し、民間工事にも波及させる狙いがある。
担い手確保の議論は休日出勤もカウントされる時間外労働の上限規制に対応し、現場の週休2日を柱とする働き方改革を重点的に話し合う。時間外労働上限規制を標準とする適正工期の設定や実工期を柔軟に設定できる余裕期間制度の原則導入、着工前の受発注者協議完了を柱とする工程の共同管理を提案。土日閉所の完全週休2日制工事の拡大も呼び掛け、先行する国交省には既契約分を含む全工事での導入を訴える。
日建連によると、時間外労働は元請として施工する会員企業の技術者ほど多い傾向にある。そのため技術者の増員や業務の外注にかかる費用を設計変更の対象にすることも要望する。
建設キャリアアップシステム(CCUS)のさらなる普及拡大も促進。国交省が掲げる23年度からあらゆる工事でCCUSの完全実施に向け、公共工事での活用義務化や未導入の地方自治体などに対する強力な働き掛けを求める。
公共工事の議論は国交省に発注予定公表の運用改善を要望。年度をまたぐ常時1年分の公表とともに、公告予定月の開示を提案する。発注の平準化や計画的な早期執行に向け、債務負担行為や事業加速円滑化国債の活用拡大も呼び掛ける。
日建連によると、資材高騰対策の議論は全公共発注機関への改善要望が多いスライド条項の手続き簡素化や関係書類削減を要望。生産性向上では、請負契約後に受注者提案によって新技術・新工法が導入できる新たな仕組みづくりを促す。
意見交換会の日程と会場(所在地)は次の通り。
▽関東=15日、ロイヤルパインズホテル(さいたま市浦和区)▽東北=22日、ホテルメトロポリタン仙台(仙台市青葉区)▽中国=25日、リーガロイヤルホテル広島(広島市中区)▽四国=26日、JRホテルクレメント高松(高松市)▽北陸=31日、朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター(新潟市中央区)▽関西=6月5日、KKRホテル大阪(大阪市中央区)▽中部=7日、名古屋ATビル(名古屋市中区)▽九州=9日、福岡国際会議場(福岡市博多区)▽北海道=15日、ニューオータニイン札幌(札幌市中央区)。