「実務経験10年」の落とし穴

 こんにちは!事務局スタッフのKです。
 先日のスタッフAに続き、私もブログに参加することになりました。今後ともよろしくお願いいたします🙇

 先日、行政書士のおつかいで県の総合庁舎へ行ったときのお話です。
 窓口で順番待ちをしていると、隣のテーブルで建設業関係と思われる方が県の職員さんと何やら話し込んでいる様子。どうやら建設業許可の申請で来られているようです。
 テーブルの上には注文請書らしき書類の山が、ざっと見た感じ100枚以上(私、目は良い方です)。あの書類の量からすると、専任技術者の要件を「実務経験10年」でクリアする案件っぽいです。
 申請者の方が「どっちの業種も実務経験ありますって」と説明しているようですが(私、耳も良い方です)、県職員の方は「重複しているからダメなんです」と回答。

 なるほど。これは「実務経験の重複」の問題だと気付きました(私、勘も良い方です)。

 建設業許可ではさまざまな要件が問われます。その中でも高いハードルの一つが「専任技術者(営業所技術者)」です。
 許可を受けるためには、工事について専門的な知識や技術を持つ技術者を置く必要があります。この技術者を「専任技術者(略して「専技」)」といいます。
 専技になるための代表的なルートには、
 ①国家資格等を持っている
 ②指定学科を卒業し、一定期間の実務経験がある
 ③一定期間(10年)の実務経験がある
といったものがあります。
 このうち、実務経験で要件を満たす場合には、許可を受けようとする業種ごとに決められた期間以上の実務経験が必要になります。

 ここで少しややこしいルールがあります。
 「同じ期間の実務経験を、他の業種の実務経験として重複して使うことはできない」というルールです。

 例えば、同じ10年間の中で管工事も機械器具設置工事も行っていたとします。「私は平成20年から30年まで、管工事の実務経験があります」と言って許可申請すると、その10年間を機械器具設置工事の実務経験として重ねて使うことはできません。機械器具設置工事についても実務経験10年で要件を満たそうとすると、平成20年より前、または平成30年より後に、さらに10年以上の実務経験が必要になります。
 3業種だったら30年以上…なかなか気の遠くなるような期間です。

 私も新人の頃、「現場ではどっちもやってるのになぜダメなんだろう」と不思議に思ったことがありました。でもよく考えてみると、もし同じ10年間を何業種でも重複して使えるのであれば、極端な話、10年の実務経験だけで複数の業種の許可を一度に取得できる可能性も出てきます。
 そう考えると、「実務経験10年」という言葉だけでは分からない、いろいろなルールがあるんだな、と感じます。

 「10年やっています」だけでは終わらず、
 どんな工事をしていたのか。
 いつからいつまでやっていたのか。
 どの業種の実務経験として認められるのか。
 そういったことを一つひとつ確認していく必要があります。

 建設業許可って、思っていた以上に奥が深いんですね。


 建設業許可のご相談では、10年の実務経験で専技の要件をクリアする案件も少なくありません。10年分の実務経験を確認するためには、過去の工事内容や期間を一つひとつ確認し、それを裏付ける資料を揃えていく必要があります。ただ年数を数えればいい話ではないのですが、それを今回の一件を見て実感しました。

 普段仕事で見ている注文書一枚一枚の向こう側に、10年分の現場経験がある。そう思うと、これから注文書を見るときも、ちょっと違った見方ができそうです。
 建設業許可、思っていたよりずっと奥が深いです。まだまだ知らないことだらけですが、少しずつ勉強していきたいと思います!