建設業許可取得後の注意事項

 皆さまこんにちは。行政書士の篠原奈保美です。
 やっと梅雨が明けて快晴が広がったと思えば,ここ数日は小雨も降ったり風も強かったりと,どうも不安定なお天気が続いていますね。
 先日周南市の当事務所でお客様との打合せだったのですが,来られる直前まで降っていた雨も打合せ中は止み,お帰りになった後しばらくしてまた豪雨になりました。何とも不思議なお天気でした。

 ちなみにその打合せは,ご依頼をいただいた建設業許可申請の件で,無事許可が下りたことのご報告でした。打合せ中に雨が止んだのは,許可の取得をお祝いしてくれたのかも知れませんね。

 さて。
 許可を受けた建設業者が守らなければならないことが幾つもあります。
 打合せでは,その遵守事項をご説明しました。

建設業法の遵守

 法律を守る。
 許可業者であろうがなかろうが守らなければなりませんが,許可を受けた後は今まで以上に意識していただきたい事項です。

 「原則書面による契約」「一括下請負の禁止」などありますが,特に注意したいのは「技術者の配置義務」です。
 建設業者は,工事現場に配置技術者(主任技術者または配置技術者)を置かなければなりません。一人親方などの技術者が少ない建設業者の場合には,専任技術者が配置技術者を兼ねる場合も多いのですが,山口県知事許可の場合は専任技術者を県外(もしくは隣接する他県の市町以外)の現場の配置技術者として置くことは原則できませんので注意が必要です。

標識の掲示

 許可業者は,店舗及び建設現場の現場ごとに,標識を掲げなければなりません。

 店舗に掲げる標識は,いわゆる金看板と呼ばれるものですね。金色のピカピカ輝く標識が印象的ですが,実は素材は何でも構いません。紙に書いたものでもOKです。
 最近は,透明のアクリル素材でできた標識もカッコよくて人気です。

 なお,現場に掲げる標識ですが,令和2年10月1日に施行された改正建設業法より,許可証の掲示義務は元請業者のみとなりました。

変更等の届出

 許可業者は,「取締役が新しく増えた」「増資した」「本店所在地が変わった」などの変更があった場合には,速やかにこれを届け出なければなりません。

 特に重要なのは,いわゆる「決算変更届」です。毎事業年度終了後(これを「変更があった」と呼ぶのは違和感がありますが…)4か月以内に,決算の情報と工事の実績をとりまとめて報告しなければなりません。この報告を「決算変更届」といいます。
 決算変更届を怠ると許可の更新を受け付けてもらえず,最悪のケースでは許可がなくなってしまうので大変です。

許可の更新

 建設業許可の有効期限は5年間です。

 原則として,有効期間が満了する日の30日前までに許可の更新を申請しなければなりませんが,2か月前くらいには申請するのが一般的です。
 申請書類のボリュームは新規の許可申請と同じくらいになりますので,早めの準備が必要となります。

 県知事から交付された建設業許可通知書をお渡しして,許可が下りたことをご報告するこの打合せは,私たちの仕事の中でも最も嬉しいイベントの一つです。お客様と一緒に喜びを分かち合う,そんな気持ちになります。
 ご依頼業務はここで一旦完了しますが,決算変更届などのお役所手続は毎年ありますので,許可取得後もお客様との伴走は続きます。

 当事務所では,お客様に毎月ニュースレターをお送りし,変更届や更新の時期をお知らせしていますので,うっかり忘れていたけど助かった!というお声をいただいています。
 これから夏本番。建設業者の皆さんにとっては暑い中での現場で大変な時期になります。私たちも皆さんの「社外法務部」のメンバーとして,精一杯バックアップいたします!