建設業経理士と経審

 厳しかった暑さもようやく落ち着き、朝晩には心地よい涼しさを感じる季節となりました。ハロウィングッズを街のあちこちで見かけるようになり、「秋だなぁ」としみじみ感じている篠原です。
 そのハロウィン、私が子どもの頃にはあまり馴染みがなかったように思いますが、いつ頃から日本で定着したのでしょうか。
 諸説ありますが、1970年代、原宿の雑貨店「キディランド」がハロウィン関連商品を販売し、その販促の一環として仮装パレードを行ったのが始まりとされています。バレンタインと同様、ハロウィンも企業の販促戦略から広まったイベントなのかも知れませんね。

 さて。ハロウィンが終わると街は一気にクリスマスムードへ。
 年の瀬へ向かって駆け抜けるこの時期、私たちの事務所も繁忙期に突入して慌ただしい日々が続きます。行政書士、「師走」ならぬ「士走」といったところです。

建設業経理士とは

 「士」といえば。
 「建設業経理士」という資格をご存じでしょうか。あまり耳馴染みのない資格ですね。
 建設業界では割とお持ちの方が多い資格で、特に経営事項審査(経審)を受審している企業には多くいらっしゃると感じます。

 経理関係の資格でよく聞くのは日商簿記などですが、「建設業経理士」は建設業に特化した経理の資格です。
 建設工事は受注してから完成・引渡までの期間が決算期を跨ぐような長いケースもあり、工期中に出来高の入金や材料・経費の支払があることも珍しくありません。また、既製品の販売とは異なり原価計算が複雑になることもあります。このような建設業界の特性から、建設業での経理処理では「未成工事受入金」「未成工事支出金」などの独特な勘定科目を取り扱ったり、工事ごとに原価計算を行って利益を判断したりすることがあります。売上計上のタイミングも「工事完成基準」「工事進行基準」といった特殊なルールがあったりと、建設業界では一般的な業界とは異なる経理処理が求められます。

メリットと経審での加点

 建設業経理士は4級から1級の資格がありますが、一定の級以上の資格を取得する過程では、このような建設業簿記や原価計算を学びます。
 建設業経理士の資格を取得することで、建設業界特有の経理処理をスムースに取り扱うことができるようになります。

 さらに、建設業経理士の2級以上をお持ちの方がいる場合、経審で加点対象となります。1級はかなり難易度が高いですが、1名いらっしゃるだけで10点以上加点されることもあるので、実益はかなり大きいです。
 私たちのお客様にも、この加点目的で資格取得を経理の方に勧めている企業がいらっしゃいます。

試験の申込

 この建設業経理士の検定試験ですが、令和7年度下期試験の申込受付が今年11月11日から始まります。
建設業経理検定試験
 試験日は令和8年3月8日。ご興味のある方、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。


 経理の資格で経審の点数に貢献できるなんて、経審は本当に奥が深いなぁと思います。
 この建設業経理士での加点制度、近年改正がありました。その他にも改正がちょくちょくあったりと、制度改正が頻繁にあることも経審の特徴です。
 経審の改正内容や審査制度全体を分かりやすくお伝えできるよう、建設業経理士を目指す方にも負けないよう私も勉強を続けなければ。建設業経理士を考えながらしみじみ感じた今日この頃です。