猪と相続

 皆さまこんにちは。行政書士の渡辺康成です。
 先日,宇部市吉部のお客様から猪肉をいただきました。猟友会の方と一緒に獲った猪の御裾分けをいただいたんですが,重さが何と1.5kg。こんな立派な猪肉を見るのも頂戴するのも初めてです。

 早速,お弁当屋さんをしている友人にお願いして調理してもらいました。出来上がったのは,これまた素晴らしいトマトソース煮。秋穂のたちばな農園さんの絶品トマトをソースにしたものだそうで,何とも上品な一品です。
 食べてビックリ,めちゃめちゃ柔らかくて美味しい。臭みも全くありません。本当に素敵なお肉と調理でした。

 ちなみに,お弁当屋さんはこちらの「たきべん」さん。
https://takiben.net/
 無添加・化学調味料不使用の身体に優しいこだわり弁当。名物からあげ「たきから」が絶品です。

 さて。
 少し前になりますが,日経新聞朝刊に相続関係の法令改正に関する記事が載っていました(1月8日付)。
 改正民法が2023年4月1日に,改正不動産登記法が2024年4月1日に,新法である相続土地国庫帰属法が2023年4月27日に,それぞれ施行されます。

相続登記の義務化(不動産登記法)

 これまでは,誰かがお亡くなりになっても,その方が所有していた不動産に関する相続の登記は義務付けられていませんでした。これが,相続開始から3年以内の相続登記が義務化され,登記しないと10万円以下の過料となります。
 すでに相続が発生している場合は,2027年3月末までに名義を変更する必要があります。

 誰がどれだけ相続するかが決まっていない場合の救済措置として,相続人申告登記制度が新設されます。相続人の住所・氏名等を申し出れば,相続開始から3年を経過しても過料の対象にならず,登録免許税も非課税となります。

遺産分割協議の改正(民法)

 相続財産を,相続人の誰がどれだけ相続するかを決める協議を「遺産分割協議」といいます。
 現行の民法では,遺産分割協議に期限はありません。相続が開始してから結構な年数が経ってから遺産の分割を協議することもあります。しかし改正民法では,相続開始から10年を経過すると原則として民法で決まっている法定相続割合で分けるようになります。

 こちらも経過措置がありますが場合分けが複雑ですので,既に相続が発生している場合には専門家へご相談されることをお勧めします。

相続土地国庫帰属法(新法)

 土地の立地条件が悪かったりして相続人で受け継ぐ人がいない場合,そのまま放置されることが多くあります。これが今後,条件によっては国に引き取ってもらうこともできるようになります。新法施行前に発生した相続も対象となります。

「建物がない」「境界争いなどがない」等の要件が必要となります。また,承認されると管理のための負担金10年分を納めなければなりません。

 この法改正・新法施行の背景には,登記簿を見ても誰が持ち主なのか分からない「所有者不明土地問題」があります。
 この解消のための施策ですので,これらの法改正や新法が施行日前に発生した相続も対象とする点が重要です。すでに相続が始まっている方は注意が必要です。

 猪といえば「猪突猛進」。国も,問題解消に向けてガンガン進んでいく姿勢です。
 相続があったけどまだ不動産の相続登記をしていない方,早めの対応をお勧めします。ご不明な点がありましたらお気軽にご相談ください。