日機協/ダンプトラック取引慣行見直しへ本腰、元請や発注者に理解求める
日本機械土工協会(日機協、山梨敏幸会長)は、主に会員企業の下請として建設発生土の運搬作業に従事するダンプトラック企業との取引慣行の見直しに本腰を入れる。需給相場に左右される従来の取引関係から脱却し、公共工事の積算体系に基づく適正な運搬価格の支払い推進を会員企業間でおおむね合意。こうした動きを元請団体や発注機関に説明し、適正価格での発注を呼び掛けていく。専門性が求められるダンプ企業と運転技能者の社会的地位向上にも併せて取り組む。
建設工業新聞 2023年12月12日
山梨会長ら幹部が11日、国土交通省と元請団体(日本建設業連合会、全国建設業協会)、発注者団体(不動産協会)、根本匠衆院議員ら国会議員を相次いで訪問し、要望書を手渡した。
ダンプ企業は燃料費の高騰などのあおりを受け経営環境がより厳しくなっている。日機協はダンプ企業へのアンケートで運搬価格が低額に据え置かれ、運転技能者の待遇を改善する企業体力がなくなっている現状を把握。2月に「建設ダンプトラック地位向上研究会」を立ち上げ、打開策の検討に乗り出した。
従来の取引慣行は公共工事と民間工事を問わず立方メートル当たりの請負契約が一般的。アンケートで大型ダンプ1台当たりの1カ月の売上額を聞いたところ、その全国平均値(88万6631円)と公共工事の積算で用いる労務単価や運転損料で算出した額(146万0166円)が大きく隔たっていることが分かった。
こうした実態を踏まえ日機協は、会員企業に対して運搬価格を▽建設機械等損料表▽国交省土木工事標準積算基準書▽公共工事設計労務単価-などを参考に積算し、ダンプ企業とは「需給相場によるだけでなく(公的な積算を踏まえた)適正価格に基づいた取引を推進する」よう、近く正式に文書で要請する。こうした姿勢を元請団体や発注機関に説明し、適正価格の確保に理解を求めた格好だ。
ダンプ運転技能者の賃金水準が低く担い手確保への懸念も大きいことから、国交省には熟練した技能や知識を必要とする大型ダンプ運転技能者に適用する公共工事設計労務単価を「運転手(一般)」から「同(特殊)」に変更するよう要望。建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価基準も別枠で新設し、専門工事会社の施工能力の見える化評価制度の対象職種にも加えるよう求めた。