CCUS活用企業のインセンティブ措置、市区町村工事で導入拡大/国交省調査
建設キャリアアップシステム(CCUS)に積極的に取り組む元請企業を評価する動きが、市区町村発注工事に広がってきた。国土交通省による2022年10月末時点の調査によると、工事成績評定で加点するモデル工事は3団体、総合評価方式での加点は39団体、入札参加資格での加点は23団体が導入。こうしたインセンティブ措置は国交省直轄工事、都道府県発注工事で先行してきたが、より小規模な市区町村発注工事でも講じられることでCCUS活用の裾野がさらに広がりそうだ。
建設工業新聞 2023年7月20日
モデル工事は中核市の福島県郡山市に加え、人口1万人未満の宮城県女川町、熊本県高森町でも導入されている。例えば郡山市は設計価格5000万円以上の工事でCCUS活用を推奨。CCUSへの登録や現場の就業履歴蓄積などの実施基準を満たせば工事成績評定で2点を加える。同市はカードリーダーや現場利用料などCCUS活用にかかる費用も補助している。
総合評価での加点は中核市を含む26市9町2村と東京都内の2区が導入。入札参加資格での加点は中核市を含む12市10町1村で導入されている。中でも福島県川内村は人口約2000人の小規模自治体にもかかわらず、総合評価と入札参加資格のどちらでも加点措置を講じている。
都道府県と政令市に目を移すと、インセンティブ措置の導入団体は8割を超える。6月14日時点で未導入なのは都道府県で▽青森▽山形▽千葉▽東京▽新潟▽富山▽高知-の7都県、政令市で▽札幌▽新潟▽福岡-の3市。直轄Cランク工事のモデル工事で地元建設業協会の理解を得られていないのは▽青森▽山形▽新潟-の3県となっている。
公共工事入札契約適正化法(入契法)に基づく適正化指針が22年5月に一部変更されたことを受け、国交省は公共発注者に対して地域の実情に応じ現場利用への加点措置など必要な条件整備を要請している。
本年度も各地で順次開く都道府県公共工事契約業務連絡協議会(都道府県公契連)などの場で積極的な対応を働き掛けていく方針だ。