MENU

    厚労省/建退共制度の対応案、予定運用利回り1・5%へ引き上げが適当

     厚生労働省は22日、今後の建設業退職金共済(建退共)制度について、退職金給付の予定運用利回りを現行の1・3%から1・5%に引き上げるのが適当とする対応案を、労働政策審議会(労政審、厚労相の諮問機関)の部会に示した。建設労働者の処遇改善や制度の魅力向上、剰余金の状況などから引き上げが必要との見解をまとめた。引き上げは2026年10月が適当とした。
     厚労省は建退共制度などの健全性を診断する定期の財政検証を進めている。制度の安定的な運営を確保した上で、処遇改善や制度の魅力向上のために退職金額の水準を検討する必要があるとして、利回りの引き上げ案を示した。26年10月に引き上げた場合、利回りを引き下げた21年10月以降の加入でも引き上げ後の利回りを適用する考え。引き上げの時期は、システム改修などの準備から26年10月をめどとした。
     利回りが1・5%に引き上がった場合、納付10年(120カ月)の退職金は1・3%の89万4000円が90万3000円、同40年(480カ月)は1・3%の426万8000円が446万9000円となる。
     厚労省は対応案を労政審勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会に示した。財政検証は24年度末に取りまとめが行われる予定で、議論が続いていくことになる。
     建退共制度を巡っては、建設キャリアアップシステム(CCUS)との連携に伴い、1人の掛け金(現行320円)を複数納付できるようにしたり、民間工事への制度の普及を求めたりする意見が出ている。掛け金の負担軽減の要望もある。制度を運用している勤労者退職金共済機構の有識者委員会は、複数掛け金制度の早期実施の検討に加えて、電子申請に対するインセンティブの付与も提案している。
     厚労省によると、利回り1・5%の28年度の推計は、収益(掛け金収入など)が696億8200万円、期末運用資産額が1兆0876億3000万円、累積剰余金は746億6600万円となる。

    建設工業新聞 2025年1月23日