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    CCUS現場導入の経審加点、総合工事業3割が活用前向き/国交省調査

     8月公布の経営事項審査(経審)改正で新たな加点評価項目となった建設キャリアアップシステム(CCUS)の現場導入に、多くの建設会社が前向きに取り組む意向を表明していることが分かった。国土交通省のアンケートに答えた総合工事業者5026社のうち、全工事または全公共工事で就業履歴蓄積の環境整備に取り組むとの回答が約3割に達した。国交省は経審改正を契機に「現場のカードリーダー設置が進むのではないか」と期待している。
     経審改正では元請としてCCUSを全現場で導入する企業に15点、全公共工事で導入する企業には10点を付与する。カードリーダー設置など就業履歴蓄積に必要な環境整備が条件となる。過度な負担を考慮し「軽微な工事」や「災害応急工事」は除外する。
     改正事項の施行は2023年1月だが、審査期間に経過措置を設け、公布日以降に開始する事業年度からの取り組みを評価する。例えば3月決算の企業は23年4月以降に現場導入すれば加点対象になる。
     国交省はCCUS事業者登録済みの経審受審企業にアンケート票を配布し、8月時点での対応見通しを聴取。設備・専門工事業者(4106社)や商社なども含む計9585社が回答した。元請の立場が多い総合工事業者の対応を見ると、▽全建設工事で実施する=1030社▽全公共工事で実施する=494社▽活用を検討する=3020社▽対応予定なし=482社-という結果だった。
     回答を寄せた総合工事業者の元請完工高は申告ベースで16・7兆円。回答企業数以上に建設市場全体に占めるシェアは大きいと考えられ、国交省はCCUSの現場利用に向けた波及効果に期待する。
     6月末時点の集計によると、登録技能者92万8418人のうち就業履歴があるのは約30%の27万8144人。カードタッチできていない技能者が7割いるのが実態で、就業履歴蓄積の環境整備と利用訴求の両面で取り組みの加速化が急務となっている。

    建設工業新聞 2022年10月11日