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    国交省/持続可能検討会が制度反映へ論点整理、契約と重層構造の適正化で意見集約

     国土交通省の有識者会議「持続可能な建設業に向けた環境整備検討会」が制度改善策の取りまとめに入る。資材価格の変動リスクへの対応や担い手確保に向けた賃金の行き渡りといった業界構造上の課題に対する委員らの意見を集約し、「契約」と「重層下請構造の適正化」の二つのカテゴリーで論点を整理した=表参照。重層下請構造は次数制限が必ずしも適当でなく、品質や安全性、賃金の行き渡りなどで問題が生じないよう対応策を検討することを明確に示した。
     6日に開いた検討会の第7回会合で国交省が論点を説明した。これをベースに議論を深め、年度末までに検討成果を取りまとめる。
     受発注者間で適切に価格変動リスクを分担するため、契約締結時の対応として総価契約のうち予備的経費(リスクプレミアム)を受注者が明示したり、コストプラスフィー契約・オープンブック方式の採用を促したりする方策を挙げた。建設業法で規定する「不当に低い請負代金の禁止」に違反した際の勧告対象から、民間発注者が除外されている現状を見直すことも焦点の一つとなる。
     重層下請構造の適正化は、重層化に向かうインセンティブ構造の見直しが必要との認識を委員らで共有している。重層構造の中で果たすべき役割や責任を明確にするため、建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用した施工体制の「見える化」による現場管理の適正化、効率化が有効との意見が出ている。
     末端の技能者まで賃金を行き渡らせるため、下請による低価格受注を「不当廉売」として制限する方向性も詰める。適正賃金の支払いに必要な労務費を見える化し、そこから必要経費を積み上げる建設工事の価格決定構造への転換を模索。賃金引き下げによる不当廉売を制限し、適正賃金の原資を確保する道筋を描く。

    建設工業新聞 2023年2月7日