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    新設項目のCCUS導入状況/全工事実施は2割/経審の対応見通しを調査/国交省

     国土交通省は、経営事項審査の審査項目に新設した「建設キャリアアップシステム(CCUS)の導入状況」について、CCUSに登録している企業の対応見通しを調べるアンケートの結果をまとめた。民間を含む全建設工事で実施すると回答したのは、ゼネコンと設備・専門工事業のどちらも2割だった。活用の検討を含めると、ゼネコンの9割、設備・専門工事業者の8割が対応する。国交省は新設項目の適用開始により、建設現場のカードリーダー設置が一定程度進むとみている。
     CCUSに事業者登録済みで経審を受ける企業に対し、CCUS上で8月にアンケートを実施した。有効回答企業数は9585社で、ゼネコン5026社、設備・専門工事業者4106社が回答している。その他の回答企業は商社など。回答したゼネコンの元請完工高は申告ベースで16.7兆円に上り、国交省は「建設工事のシェアで一定程度の比重がある」(不動産・建設経済局)としている。
     回答をみると、ゼネコンは「全建設工事で実施する」が20.5%、「全公共工事で実施する」が9.8%、「活用を検討する」が60.1%で、この三つを合わせた割合は90.4%を占めた。
     設備・専門工事業者も似た傾向となり、「全建設工事で実施する」が20.5%、「全公共工事で実施する」が5.7%、「活用を検討する」が56.3%。三つを合わせた割合は82.5%だった。
     CCUSの導入状況は、国交省が8月に建設業法の省令を改正し、経審の審査項目に追加した。審査基準日以前の1年以内に施工した元請け工事で、CCUS上での技能労働者の就業履歴蓄積に必要な環境を整備している建設企業を評価する。配点は2段階とし、民間を含む全建設工事で実施している企業は15点、全公共工事で実施している企業は10点。
     加点を受けるためには、「CCUS上の現場・契約情報の登録」、現場へのカードリーダー設置など「建設工事に従事する者が直接入力によらない方法でCCUS上に就業履歴を蓄積できる体制の整備」、求められる措置を実施したことを誓う「誓約書の提出」の三つを全て満たす必要がある。
     「日本国外の工事」、請負代金額500万円未満(建築一式は1500万円未満)の工事と面積150㎡未満の木造住宅建設工事が該当する「建設業法上許可が不要となる軽微な工事」、災害協定に基づく契約または発注者の指示によって実施された工事の「災害応急工事」は審査対象から除外する。
     2023年1月1日に 改正省令を施行するが、この新設項目は 23年8月14日以降に終了する事業年度から適用する。例えば3月期決算の企業は、23年4月1日から24年3月31日までの 1年間の取り組みを評価することになる。

    建設通信新聞 2022年10月11日