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    日本型枠/CCUSレベル別年収見据え賃金算出手順を作成、モデル単価提示へ

     日本型枠工事業協会(日本型枠、三野輪賢二会長)は、国土交通省が6月に公表した建設キャリアアップシステム(CCUS)レベル別年収の試算結果に基づき、型枠大工の賃金モデルを算出するための作業手順をまとめた。これまでの雇用実態調査のデータなどを踏まえ、賃金がピークになる年齢階層などを規定。同手順をたたき台にワーキンググループで議論を進め、年内または年度内をめどにモデル単価を提示する考えだ。
     CCUSレベル別年収目標について、日本型枠では元下請双方で理解を示す一方、個別工事での材工一式の複合単価に落とし込んでも受け入れられないケースが出てくると見ている。技能者の目標収入に見合った賃金を支払うのは下請業者であり、年収目標だけが独り歩きすることへの懸念もある。こうした背景などを踏まえ、賃金モデルや躯体種別のモデル単価など、コストの見える化を図り、官民の発注者や元請企業らに理解を求めていく。
     賃金モデル算出に当たり、賃金がピークになる年齢階層は、CCUSデータによる型枠工評価でレベル4に種別される者が対象。個々人でCCUSレベル4を目指す職人もいれば、レベル3でとどまる者もおり、各年齢階層の賃金モデルはあくまでも平均値としている。
     現場施工に携わるグループを雇用実態調査による年齢分布に基づき、人員構成を設定。たたき台として、日本型枠の幹部が感覚的に設定したキャリアパスに基づき、型枠技能工のモデル賃金カーブを作成した。
     中途入職者の多い実態に基づいたレベル1の所属年齢層を18~21歳と想定。就労年数や資格取得などを勘案し、レベル2への到達時期を22~24歳、レベル3が33~35歳、レベル4を41~45歳と設定した。元請のゼネコン各社から高く評価され、特別手当が支給される職長を最高給与の到達時期(46~50歳)としている。
     仮定の施工グループ(年間就労日数239日)で作成した型枠大工の賃金カーブによると、50歳の日給単価(本人負担分の法定福利費含む)を3万6035円とし、最高年収(総支給額)の864万8400円に達する。
     18~60歳の生涯獲得賃金は2億6342万1360円。労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2021」によると、製造業で高卒男性の生涯年収は1000人以上の大企業が2億8000万円(大卒3億1000万円)、10~99人の企業が2億1000万円(同2億3000万円)であり、100人未満の企業であれば製造業に対して、給与の面で優位性を保持できるとしている。

    建設工業新聞 2023年8月8日