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    CCUSのさらなる浸透へ 小規模現場でも使いやすく

     建設キャリアアップシステム(CCUS)のさらなる浸透に向けた取り組みが活発になっている。7月から就業履歴を蓄積するカードリーダーでロギング機能が使えるようになった。9月からはCCUS登録技能者が自らの就業履歴を一目で把握できるアプリ「技能者パスポート」の実証実験が始まる。事業者、技能者双方でCCUSの使い勝手が向上する。
     ロギング機能は、カードリーダーに一時的に就業履歴を保管する機能。カードリーダーさえあれば、現場にパソコンを設置しなくても、就業履歴の蓄積が可能になる。蓄積したデータは会社に戻った時に就業履歴登録アプリ「建レコ」がインストールされたパソコンで取り込めばよい。就業履歴を読み取る機器を設置する必要のある元請け業者にとっては、手間や費用といった負担が軽減される。このため、一戸建て住宅などスペースやコスト的にパソコンの常設が困難な小規模現場での活用が期待される。
     一方、技能者パスポートは、CCUS登録技能者が自らの就業履歴や資格情報を一覧と詳細で閲覧できるものだ。CCUSレベル、資格の有効期限、技能者特典(CCUS応援団へのリンク、クーポンの配信など)、各種お知らせも確認できる。さらに、能力評価基準を基に、技能者の資格取得日・資格保有状況、登録職種などから、登録技能者の現在のレベル到達状況と、レベルアップに向けた目安を自動的に判定してくれる。
     登録技能者にCCUSをより身近に感じてもらい、「カードタッチで就業履歴を蓄積しよう」という意識を根付かせる狙いがある。
     また、CCUSの浸透に向けては公共発注機関も力を入れる。国交省ではCCUSを通した技能者の経験・技能レベルに応じた賃金の行き渡りの実現を目指しており、地方建設業協会から理解が得られた都道府県で、直轄土木Cランクを対象としたCCUSモデル工事の実施に取り組んでいる。市区町村に対しては、CCUS活用のための必要な条件整備を行うようにも促している。
     7月末時点でCCUSには、技能者124万人、事業者23万社が登録している。都市部の比較的大きな現場や大規模事業者から登録が進んでおり、さらなる浸透と技能者の処遇改善へは、中小規模現場に携わる特に地方の事業者の登録と、そうした現場での就業履歴の蓄積促進が課題となっている。

    建通新聞 2023年9月1日