関東鉄筋工事業団体連合会/施工価格改定を決議、持続可能な業界へ値上げを要望

関東にある八つの鉄筋工事業団体で構成する関東鉄筋工事業団体連合会(関東鉄筋連、新妻尚祐会長)は、物価高騰への対応と技能労働者の処遇改善の実現に向け、元請企業らに対し連携して施工価格の引き上げを要望していくことを決めた。持続可能な鉄筋工事業を構築するため、各団体の会員企業が足並みをそろえて、元請企業への見積書提出時に要望書を添付して価格引き上げを求めていく。日本建設業連合会や全国建設業協会、不動産協会らにも要望書を送付する。
建設工業新聞 2023年10月13日
6日に東京都内で開いた関東鉄筋連の会合で、関東鉄筋連の新妻会長をはじめ、東京都鉄筋業協同組合(新妻尚祐理事長)、協同組合東京鉄筋工業協会(飛田良樹理事長)、神奈川県鉄筋業協同御組合(工藤桂一理事長)、茨城県鉄筋業協同組合(海老澤浩幸理事長)、栃木県鉄筋工事業協会(金田剛会長)、群馬県鉄筋工業組合(磯仁志理事長)、埼玉県鉄筋業協同組合(田中洋一理事長)、千葉県鉄筋業協同組合(樋脇毅理事長)の代表者が要望書に署名した。
要望書では鉄筋工事業で働く者の処遇改善に向け、「公共工事設計労務単価に経費を加えた人工単価を労務費の基礎として、加工費、組み立て費を設定する」とした。その上でエネルギーや燃料、原材料、資材などの物価高騰と、持続可能な鉄筋工事業を目指す賃金上昇を考慮した見積書とする考えを明記した。
値上げ要望はエネルギーや燃料、原材料、資材などの物価高騰により、鉄筋加工場の電気代、運送費、結束線・スペーサーなどの副資材が20~40%程度値上がりしていることが背景にある。加えて政府の賃上げ要請への対応や、2024年4月に適用される時間外労働の罰則付き上限規制による施工価格の上昇もあり、施工価格の見直しが必要と判断した。
具体的な値上げ幅は要望書に明示されていないが、国土交通省が6月に公表した建設キャリアアップシステム(CCUS)のレベル別年収に合わせて技能者に賃金を支払うには、現状価格の「最低でも3割以上の値上げが必要」という意見もある。今後、各団体の会員企業は公共工事設計労務単価に経費を乗せた額をベースに、見積書を作成し、元請企業に値上げを要請する。
関東鉄筋連では今後、値上げ要請がどのように浸透しているのか、全国鉄筋工事業協会のポータルサイト(単価状況調査報告)に四半期ごとに提出される報告内容などで確認する予定。必要に応じて情報交換も行い、全体的な底上げを目指していく。