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    ニュース断面・CCUS経歴証明

     建設キャリアアップシステム(CCUS)の技能者評価(レベル判定)申請の拡大を進める鉄筋工事業界で、1次下請けの協力企業(2次下請け)の取り組みと意識がいま一歩であることが、東京都鉄筋業協同組合(新妻尚祐理事長、東鉄協)加盟企業の協力企業に対する「CCUS調査」で浮き彫りになった。特に期限が定められている経歴証明取得の理解が進まなければ最悪の場合、建設技能者の適正な客観評価ができず、処遇改善が進まないだけでなく、もう一方の柱である企業の施工能力見える化にも悪影響を及ぼしかねない。
     CCUS調査は関東1都6県の鉄筋工事業8団体で構成する関東鉄筋工事業団体連合会(新妻尚祐会長)加盟企業の協力企業などで構成する関東鉄筋工事協力会社連合会の企業を対象に実施。回答企業は1都5県7団体推薦の192社。うち東鉄協分は109社。事業者IDは192社全てが取得していた。
     ただ技能者の処遇改善につながる「技能者の能力評価(レベル2-4判定)申請」では、半数の企業がレベル判定申請をしていないと回答。他団体も同様の傾向だった。
     また、技能者の能力評価に影響を与える経歴証明についてはさらに理解が進んでいないことも分かった。経歴証明とは、CCUSに蓄積されていない経験の評価方法。具体的には事業者登録されている所属事業者などが、能力評価申請者(技能者)のCCUS利用前の就業日数と職長・班長としての就業日数を証明するもの。事業主の“みなし経歴証明”とも呼ばれる。
     調査では、「事業主がみなし経歴証明できる期間が24年3月31日までで終了することについて理解しているか」との質問に対し、「わからない」との回答が約6割に上った。またこうした制度の説明会開催についても「希望しない」と拒否回答が9割を超えた。
     そもそも事業主のみなし経歴証明は、CCUSを利用した技能者能力評価の経過措置。正当な能力評価を受けるには、19年4月からのCCUS本運用開始以前の職長・班長としての就業日数の加算も必要なためだ。国土交通省は今年6月、「建設技能者の能力評価制度に関するガイドライン」を改正、経歴証明がされた能力評価申請書の提出期限を29年3月末までとこれまでから5年延長する一方、経歴証明できる期間を技能者が建設業に就業開始した時点から24年3月末までと期限を明記した。
     東鉄協が属する鉄筋工事業は、躯体から内装、設備といった幅広い専門工事業界の中でも先行して、「建設技能者の能力評価」と「企業の施工能力」いずれの“見える化”取り組みは進んでいる。ただ今回調査で、1次下請け企業とは異なり、協力企業の技能者能力評価と取り組み意識はまだまだ浸透していないことが浮き彫りになった形だ。

    建設通信新聞 2023年12月1日