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    建専連、日建連/外国人材新制度に賛同表明、転籍は費用負担明確化を

     技能実習に代わる外国人受け入れの新制度「育成就労」について、建設産業専門団体連合会(建専連、岩田正吾会長)と日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)が5日に開かれた自民党の外国人労働者等特別委員会でヒアリングを受け、おおむね賛同する意見を表明した。担い手不足が深刻化する中で人材確保を明確に打ち出し、キャリアパスを描けるような新制度の創設を両団体ともに評価。一方、新制度で容認する本人意向の転籍では、企業の先行投資分の負担の仕組みの明確化などを要望した。
     政府は有識者会議が今月まとめた新制度の創設を柱とする最終報告書を踏まえ、来年の通常国会で関連法案の提出を目指す。新制度では受け入れ可能な業務区分を特定技能制度と統一化。同一企業での就労が1年超の外国人材を対象に「同一の業務区分内」に限って本人意向の転籍を認める。
     建専連の岩田会長は、外国人受け入れの持続的な枠組み構築を歓迎しつつ、労働力・技術力を維持するため「日本人労働者と同等の処遇の実現」を強調。諸外国との人材獲得競争を見据え「日本人を含め欧米諸国と同等以上の賃金レベルが将来的には必要」と訴えた。建設キャリアアップシステム(CCUS)を念頭に育成就労者のキャリアパスモデルの見える化も求めた。
     転籍では費用負担の在り方に加え、一部の会員団体には同一の業務区分のうち「主たる技能」の範囲に狭めるべきとの意見があることも伝えた。仕事量の繁閑が生じる建設業の特性を踏まえ、仕事量を調整したり、多能工化など幅広い技能が習得できたりする仕組みを設ける必要性にも触れた。
     日建連も元請団体の立場で、しっかりとした形で外国人材を受け入れる仕組みとすることを歓迎。本人意向の転籍は、担い手確保の観点から同一の業務区分内に限定することを改めて要望した。併せて建設業界には多種多様な職種があると説明し、それぞれ計画的に人材育成を推進している観点から、従来の技能実習制度にきちんと取り組んでいる関係者に予期しない不利益や悪影響が及ばないよう配慮することも訴えた。
     転籍では最初の受け入れ企業が負担した研修費などの初期費用について、転籍先企業から正当な補てんが受けられない場合、外国人材を積極的に受け入れられなくなる可能性を問題提起。初期費用の分担方法の詳細な基準づくりを提案し、転籍前後の受け入れ企業間の紛争処理方策も含め、すべての関係者が安心できるルール作りを呼び掛けた。

    建設工業新聞 2023年12月6日