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    CCUS運用開始から3年/下 現場でのメリット実感が急務/レベル判定の機運醸成を

     2022年の新春インタビューで斉藤鉄夫国土交通相は建設キャリアアップシステム(CCUS)の展望を「今後は登録促進の段階から現場利用の促進、そしてメリットを技能者に実感してもらえるステージに進める」と語った。その背景には現場の技能者の利用が根付いていないという課題がある。登録促進を最優先で進めてきたが、運用開始から4年目に入り、技能者自身がCCUSカードを持つ意味を考える局面に入っている。
     現状の就業履歴の蓄積の状況(22年2月)を分析すると、83万4000人の登録技能者のうち、1カ月間に就業履歴があった技能者は28%の23万3595人にとどまる。登録者数の伸びに比べて全体の就業履歴の蓄積総数は増えているものの、21年12月は29%、同年9月は28%とその割合は横ばいのままだ。登録者数の伸びほど、現場での利用が進んでいないことが分かる。
     現場利用でのタッチ数を増加させる近道は義務化だ。3月のCCUS運営協議会(第9回総会)では複数の業界団体首脳から義務化を求める意見が上がった。一定程度CCUSが浸透してきた中で、義務化を選択肢として捉える向きだ。
     ただ、一律の義務化は容易ではない。例えば、直轄工事の状況を見ると、Cランク工事でCCUS活用推奨モデル工事を試行しているのは25都府県と全体の半数以下だ。WTO対象など大規模工事ではCCUSのモデル工事が進んでいるが、地域レベルの普及は道半ばと言える。一足飛びの義務化は難しい。
     それを打開する手だてと期待されるのが23年度からの完全実施への1つの道筋として国交省が示した経営事項審査でのCCUS導入評価だ。技能者がCCUSで就業実績を蓄積するには、現場の元請企業による現場登録やカードリーダー設置、現場利用料の支払いなどが必要であることから、導入企業は処遇改善に相応の役割を果たしていると判断して評価対象とする。6月に改正内容を公布し、23年1月の施行を目指す。
     同省と歩調を合わせ、厚生労働省は22年度からCCUS関連の助成金を新設した。CCUSの普及に取り組む建設業関係団体を通じて、カードリーダーの購入経費やレベル4人材の給与、役職手当を助成する。浸透していない地方部や町場などで強い拒否感が予想される義務化とは異なる形で、国は元請けによるカードリーダー設置など就業履歴が蓄積できる環境を整える。
     今後の最重要課題は技能者自身の動機付けだ。その解決策として、いま訴求が最も急がれるのが就業履歴蓄積の結果である「能力評価(レベル判定)」だ。昨年、CCUSを通じて初めて実施した技能者へのアンケートでは「就業履歴が蓄積され、自分の技能・経験が評価されること」が期待することとして最も多く選択された。また、国交省の調査ではCCUS登録者や高レベル者はより賃金が高いこと、一部元請けでレベルに応じた手当支給が進んでいることが示されているほか、一人親方の適正化を進める上でも、その効果が見込まれる。ただ、実際の処遇改善につながること、そして技能者自身が望んでいるという結果とは反して、レベル判定の普及は進んでいない。
     22年度からはレベル判定の実施状況などその実態が明らかになっていない現状を改め、技能者を含め、業界全体で機運を高めるべき時に来ている。CCUSの本来の目的である技能者の処遇改善に向けた役割の前進が期待される。

    建設通信新聞 2022年4月25日