MENU

    CCUS6年目、現場利用のフェーズへ・下/公共工事で履歴蓄積評価を

    ◇民間システム、データ連携で省力化

     国土交通省は3月28日に開かれた建設キャリアアップシステム(CCUS)運営協議会の総会で、技能者本人や元請・下請といった利用者の立場に応じたメリット強化を明確に打ち出した。近くまとめる「CCUS利用拡大に向けた3カ年計画」で短期的な対応と中長期の方向性を示す。
     運営主体の建設業振興基金(振興基金)が2023年7月時点で登録技能者に行ったアンケートによると、就業履歴を月に1日も蓄積していない者の56%が「どの現場にもカードリーダーなどがなかった」と回答。蓄積しないと自ら判断しているのは1割に満たなかった。これを重く見た元請団体幹部は、まず公共工事で現場利用の環境整備を急ぐべきと強調する。
     都道府県発注工事でCCUS活用を成績評定や総合評価で加点したり、リーダー設置費を補助したりするのは青森、山形、富山の3県を除く44団体。ただ事業者登録などの有無に限って加点要件とするケースが多く、実際の就業履歴数(カードタッチ数)を評価する団体は少ないとされる。総会で国交省の宮沢正知不動産・建設経済局建設市場整備課長は「現場で就業履歴をためられることを自治体が評価する仕組みに変えていく」との姿勢を示した。
     目指す姿の一例となるのが23年12月に実施要領を改定した埼玉県だ。能力評価(レベル判定)に有効な履歴蓄積を促すため、一定以上の履歴数にプラスして「施工体制登録」「施工体制技能者登録」を前提とする加点基準を設定した。事前に相談を受け、改定内容を助言した振興基金は「望ましい」運用の在り方として他自治体にも周知する。
     建設業法と一括改正を目指す公共工事入札契約適正化法(入契法)では公共発注者に提出する施工体制台帳の電子化を容認する方向。CCUSを活用した提出・確認に対応する公共発注者の拡大も目指す。
     技能者のメリットとして振興基金は23年度に実証実験したスマートフォンアプリ「技能者パスポート」を今秋にも供用開始する。就業履歴や資格情報を手元で確認でき、レベルアップや資格取得の意識向上に期待。建設業退職金共済(建退共)とのデータ連携にも順次対応し使い勝手を高める。
     API連携する民間システムとの相互連携を強め、CCUS登録データの共同利用も拡大する。下請のデータ入力作業などの効率化につなげる。総会では現場内の技能者を常時把握するなど労務管理面でCCUSの活用拡大を期待する声もあった。振興基金の長谷川周夫専務理事兼CCUS事業本部長は「CCUSはあくまでデータベース。さまざまなサービスを直接提供するのではなく、民間にデータを提供し活用してもらうのが基本」と説明する。
     振興基金は各ベンダーとの調整を本格化し、次期システムへの反映を見据えデータ共同利用の在り方を検討する。今月から時間外労働の上限規制が適用された中、CCUSを基盤としてICTを活用した現場管理を根付かせ、生産性向上につなげる視点が重要だろう。現場関係者の共通理解を前提により良いシステム構築が求められる。

    建設工業新聞 2024年4月9日